
Creality K1をDXCエクストルーダーに交換
最近、写真から3Dモデルを生成するAIが流行ってますが、小さいモデルを印刷するとフィラメントの細かな出し入れが頻繁に起こり、調子に乗って印刷しているとエクストルーダーのギアが減って滑るようになってきました。純正への交換も考えましたがDXCエクストルーダーという2枚ギアが評判らしく、これに交換した手順を紹介します。
目次
DXCエクストルーダーって何?
Amazonで交換のエクストルーダーを探していて見つけたのですが、ヘリカルギアデュアルドライブ構造でがっしりフィラメントを挟んで滑らないと評判のサードパーティ製のエクストルーダーです。純正と形は違いますが、穴あけなど不要ですぐに取り付け可能だと宣伝されています。Amazonで8300円で購入しました。
ステッピングモーターの移植
見比べると随分と形が違うので、本当にこれが改造なしに取り付けられるの不安になりました。購入したエクストルーダーにはステッピングモーターがついていません。純正から取り外してDXCへ移植します。方法は簡単で純正で留まっているネジを2本外し、DXCへモーターを差し替えてDXCに差し込まれているネジを六角レンチで締め上げるだけです。

DXCを元あった場所へ取り付けるのですが、確かにすっぽりと上から差し込むことができて、横にあるネジ穴も純正と同じ位置になるので、簡単に固定することができました。しかし、幾分、ステッピングモーターの位置が高くなるのでケーブルが基板まで届きません。そこで付属品の中にあった延長ケーブルを使えば届くようになります。
試し印刷
試しに1枚写真から3Dモデルを起こした、MLBドジャーズの日本人選手達を印刷してみます。0.08mmの積層でもフィラメントのトラブルなく印刷できました。2枚のギアで挟んでいるのでフィラメントの滑りがなく印刷品質が向上した気がします。

フィラメント交換の問題
フィラメントをロード・アンロードするとき、K1の操作パネルから行いますが、エクストルーダーの大きさが変わったため、純正どおりのフィラメントの出し入れではフィラメントが抜けなかったり、なかなか入って行かなかったりします。DXCの赤いレバーはフィラメントの抑えを解くものですが食いつきが激しくほとんど役に立ちません。なのでフィラメントを抜くにはフィラメントがギアから完全に抜けるまで巻き戻す必要があります。またフィラメントを入れるときも1回ではノズルから出てこないので3回ぐらいロードを繰り返さないといけません。
ロード・アンロードのパラメタ変更
そこで、DXCに合わせてロード・アンロードのフィラメントの動きをカスタマイズすることにしました。K1のパネルにはroot権限でログオンできるようにする項目があります。左メニューからギアアイコンを選ぶと「ルートアカウント情報」という項目があるので入ります

root権限でログオンできるようにするとどんなリスクがあるか説明がでるので、一通り確認したらチェックして確認ボタンを押します。

rootでログオンするためのアカウント情報が表示されるので、これを使ってネットワーク経由でK1にログオンします。

K1にネットからログオンするにはIPアドレスが必要ですが、Creality Printを使っているならIPアドレスはわかっていると思います。

TeraTermでK1にログオン
適当なターミナルソフトでIPアドレスをSSHで開きます。今回はTeraTermを使って先程確認したIPアドレスにログオンします。ロード・アンロードのパラメタはGcodeとしてgcode_macro.cfgというファイルに記録されています。ファイルは /usr/data/printer_data/config ディレクトリにあります。変更するまえにgcode_macro.cfg を gcode_macro.cfg.original というファイル名でコピーして保管しておきました。

Linuxシステムなのでviエディタが内蔵されているので、>vi gcode_macro.cfg で開きます。 /コマンドでLOAD_MATERIALを検索すると [gcode_macro LOAD_MATERIAL] というセクションが見つかります。このG1の次にあるEの値がロードするときのフィラメント送り出し量なのでE150ぐらいに変更すると1回の操作でフィラメントがロード完了できます。

また、そのしたに[gcode_macro QUIT_MATERIAL]セクションがあり、これがアンロードのパラメタです。G1コマンドが並んでいてフィラメントを複数回出し入れしたあと一気に引き抜く最後のG1のパラメタをE-350ぐらいにするとエクストルーダーのギアからフィラメントが完全に抜けるので、引っ張ればフィラメントを抜くことができます。

パラメタを修正したら :wq で書き出して、さらにK1の電源を切って再起動します。再起動しないとパラメタが読み込まれないようです。
フタが閉まらない対策
DXCエクストルーダーの背が高いので、フィラメントを送り出しているチューブがフタに当たって閉まりません。そこで蓋の周囲に嵩上げするアダプタを作って噛ませテープで固定しました。2cmぐらい持ち上げると大丈夫なようです。

まとめ
DXCエクストルーダーはガッチリとフィラメントを挟んで滑らないのはいいのですが、フィラメント交換の手順が純正のままだと苦労するので、以上のようにパラメタを修正して簡単に交換できるようになりました。パラメタ修正は自己責任で実施してください。
