開発物語

我が家に2頭の猫がいます。大きめで人懐っこいオスのモフモフ、神経質で人見知りなメスのスーちゃん。モフモフはブラッシングも好きで抱っこも嫌がりませんが、スーちゃんは触るのも難しく、鰹節のおねだりぐらいしか相手にしてもらえませんでした。ただ、健康管理のために体重は定期的に測って記録し、体の小さいスーちゃんはどれぐらいまで大きくなるのか気にしていました。下記はその2頭の体重変化のグラフです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image.png
モフモフの体重測定記録
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-1.png
スーちゃんの体重測定記録

グラフを見ると、スーちゃんのほうがグラフの折れ曲がり回数が少なく、体重を測るのが難しかったのが分かると思います。触らせてくれないので捕まえるのも一苦労です。10g単位で測れる赤ちゃん用のベビースケールで測りましたが、乗せてもすぐに逃げてしまい測れません。

子猫時代のスーちゃん
子猫時代のスーちゃん

2014年の冬、スーちゃんの後ろ姿が、ちょっと小さい気がしました。お尻が小さくて痩せている気がします。そういえばカリカリご飯の減り具合も少ない気がします。お皿を分けて置いても、みんなどちらも食べるので、スーちゃんの食事量が減っているのになかなか気づきませんでした。慌てて病院に連れていき診察してもらいましたが、腎臓の数値が良くない。すでにステージ3。この若さで腎臓が悪くなるのは珍しく、ずーっと薬を飲むことになると言われました。

それから、とにかくスーちゃんの体重を戻すために、いろんなカリカリや缶詰を買い漁って与え、一番よく食べるご飯を探しました。毎日、体重も測り、戻り具合を見ながら看護したところ、半年でなんとか元の体重に戻り元気になりました。体重が急減した原因は、たぶん、海外製のカリカリが美味しくなくて、スーちゃんは合わず、食が細くなったのだと思います。前にみぃちゃんという猫を飼っていて15年ぐらい生きましたが、お腹にリンパ腫ができて、最後はだんだん食が細くなり、自分で食べられなくなってからは、症状が悪化するのが早かった経験があります動物は自分で食べられなくなったら最後。まずは食べるのが仕事だと思っています。

2014年12月、自動で体重を測れる装置を作ろうと、電子部品を買い集めたのですが、すぐに翌年の水中ロボコンに出場するための制作に取り掛かったので、そのまま手つかずになっていました。

あるとき、使っていたベビースケールが壊れました。買い替えも考えましたが、分解してみると体重計の仕組みが分かり、これなら継続的に体重を管理するには自動で測って記録する体重計が作れそう。それも自分から乗ってもらえる違和感のない極薄で、モフモフとスーちゃんの区別ができるもの。そんな思いで、元気でニャーの開発がスタートしました。

改良を重ね、友人にも協力してもらい、北海道から沖縄まででテスト運用してきました。途中、北海道のメスの子が、いつも30gぐらいしか変動がなかったのに、急に70gぐらい体重が急減したのがわかり、病院に連れて行って体調が戻ったということもありました。よく食べるオス3頭飼っている家庭では、獣医さんから体重管理してくださいと言われ、出勤している間に、誰がいつ食べて、何キロなのか分かって助かるという声も頂いています。我が家では、旅行に出かけるとき、近所のオバちゃんに猫の世話をお願いするのですが、ちゃんとご飯食べているか分かって安心です。

猫は泌尿器系の病気に掛かりやすいと言われています。また、食事がよくなって長生きするようになり糖尿病の子も出てくるようになりました。元気でニャーを使い始めて、糖尿病・リンパ腫・腎不全の病気が見つかるケースが増えています。どの病気も体重変化とトイレ回数で兆候がわかる病気です。元気でニャーがみなさんのニャンの健康管理に役立つことを願っています。

鰹節をねだる、2020年で8歳のスーちゃん