3Dプリンタが来て2年、溜まったノウハウ

今日、10本目のフィラメントを注文しました。あ、3Dプリンタの材料のことです。いつもAmazonで注文しているので、履歴から見ると10本目みたいです。1個あたり240mの長さなので、かれこれ2km以上印刷したことになります。 途中でケチって、別物のフィラメントを買って試したりしましたが、品質が安定しなくて断念。 それを調整する手間暇を考えたら、純正のカートリッジをすんなり買ったほうが楽。
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使っている3DプリンタはXYZプリンティングのダヴィンチ1.0ですが、癖にも慣れてきて、だいたい2回プリントすればきっちり寸法が合うようにはなりました。 ほんのちょっとのことなんですが、例えば半径20mmの円柱に被せる筒をつくるとすると、筒の内側は20.2mmにしたりします。 20mmにするとハマりません。 20.2mmだとギュウギュウ。ピストンのように滑らせたいなら20.4mmぐらいにとか。 表面には積層の筋が無数にできるので、その方向のよっても大きくする量を調整します。
冬は3Dプリント製作には向きません。いつも部屋を暖房しているならいいのですが、別室で作業部屋みたいになっていると、プリンタ装置が冷えてしまって、なかなか温まらないし、樹脂の粘りも固くなるのでくっつきが悪いです。 室温は20度以上ないといいことありません。
小さくて背の高いものはゆっくり印刷しないと、出来上がった面がまだゆるいうちに、上に重ねていくことになるので、うねうねになります。 面積が1cm四方ぐらいだと全然だめで、2cm四方ぐらいないと安定しないです。
土台にプリントしたものがしっかりくっつくよう、はじめのうちは付属のピットノリのようなものを使っていました。 しかし、これがまたしっかり塗らないと剥がれてしまって作品がぐちゃぐちゃになります。 途中であみ出した方法は、アセトン溶液に少しだけABSを溶かして、それを土台に筆で塗る方法です。 素材が同じABSなので土台にしっかりくっつくし、もう剥がれて失敗することはなくなりました。
買って最初のうちは、土台から立ち上がって、下に空間が空いてしまうような形のものを、無理やり印刷することもありました。 しかし、サポート材という支えが必要になり、フィラメントがもったいないのと、サポート材を取り外した跡が汚くなるので、いまは分割して下から上に向かって、垂直か細くなるように分割するようにしてます。 そして、あとでABSをアセトンに溶かしてつくった「ABSボンド」でくっつけたほうが、寸法も狂わないし、仕上がりがキレイ。 ABS同士なのでしっかりくっつき強度もあります。 積層型の3Dプリンタならではの悩みです。
積層型の3Dプリンタはどうしても側面に縞々模様が出ます。アート作品を作っている人はなめらかにするために、アセトンを入れた容器のなかに放置して、表面がゆっくり溶けるのを待つようですが、大きな作品を入れる容器を準備するのも大変だし、使った後の片付けもめんどくさい。アセトンはとても揮発性が高いので、いくら密閉しておいても1週間もすれば空っぽになってます。 そういうときはアセトンを皿に少し取り出して、絵の具の筆で、直接塗ったほうが早いし、余ったアセトンも戻せるので便利です。 さらにアセトンで表面の縞々を消すように塗りこむと、つなぎ目のABSに染みこんで、強度が増します。 強度アップが目的なら、失敗したABSを薄く溶かしたアセトンで表面をなでて上げたほうがGoodです。
積層方向の曲げに弱いので、力のかかる方向を考えて、積層面の曲げ方向に力がかかるように設計時から考えておきます。上に長く伸びる形のものは力を掛けるとあっというまにポキリと折れます。長いものは倒して積層するようにします。 強度を上げるのになんでも太くするより、回りにTの形にリブをつけたほうがフィラメント節約にもなるし、印刷時間の節約になります。
写真のように同じものが複数個ほしいときは、一度に印刷することもありますが、厳密にいうと、1個ずつ印刷するときと調子が違います。 1層の面積が広くなるので、次の層が重なる時の下の層の温度が低くなり、くっつく強度が落ちます。ただ、ブチュッと横に垂れにくいため精度はあがり、側面には隙間ができやすくなる傾向があります。
とても綺麗に仕上がったものでも水に浸けると中に水が入ります。ダビンチのデフォルトは内部の密度が10%なので、割ってみると蜂の巣のような構造になってます。水面に浮かべるぐらいならあまり水は入りませんが、30cmぐらい沈めると、だんだんと水が染みこんで中に溜まります。水が入りにくいようにするには、1つは薄めたABSボンドを刷毛を使って表面に塗りつけます。積層の隙間が埋まって水が入りにくくなります。 もう1つは、最初から水が入るのを考えて、水抜きの穴を作っておいたり、細身にしてリブをつけて密度を高くして印刷します。 水中ロボットの主翼をかっこ良く作りましたが、だんだん水が入って浮力が変わり苦労しました。 水漏れ箇所を調べるときは、注射器をつかって角から針を差し込み、水につけて中から圧力を掛けてやると、表面に気泡が出てくるので分かります。注射器の穴はあとでABSボンドで塞いでおきます。
そういえば、3Dプリンタに出力するソフトは時々バージョンアップして、少しずつ賢くなってます。 いまの最新版は当初とくらべて、最初の1層目をゆっくりだして台にくっつきやすくしたり、モデルを輪切りにして印刷用のデータに変換するとき、マルチコアを使って計算が速くなりました。カートリッジのメモリ書き換え対策も行われているようですが。
そんなわけで、また暖かくなったし水中ロボットのクラゲちゃんも作らなきゃいけないので、また本格的な季節に入ってきました。