ETロボコン新走行体 NXTrikeが誕生するまで(1) 変えると宣言したものの

2009年からETロボコンというソフトウェアコンテストの運営に協力してまして、2014年で6年目になります。スタートは南関東地区の立ちあげでしたが、去年から本部の技術部門を担当することになりました。
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コンテストでは同一規格のロボットを使って、ソフトウェアの良し悪しを競うので、参加者には走行体と呼ばれるロボットの設計を提示することになります。で、2009年にはロボット機材の入れ替わり時期で、あたらしい走行体が投入されました。それが、この人間の格好っぽい2輪で立って走るやつです。 このロボット。2輪だけで立つこと自体すごくって、まあ、人間が手のひらの上で、棒を立てておっとっと、とバランス取るのをソフトウェアで実現しているわけです。とても、これを機械工学や現代制御理論を専攻していない人に作れというのは無理なので、この手の計算がめっぽう得意なMATLABというソフトで、制御論理をシミュレーションして作り出したプログラムを大会側から提供していました。 だから、みんな普通に立って走らせているんだけど、そういうプログラムを足してやってるわけです。
この走行体。とても良く出来ていまして、2輪だけだから方向転換が簡単。丈夫で壊れない。2輪で立つから他からは凄いことしているのがわかりやすい。開発環境もしっかりしている。かれこれ5年、改良を続けながらここまで来たものですから、ノウハウもたくさん溜まって、ここ2年ほどは、何回も出場した人が有利な状況になっていました。
で、2013年の冬。もう、これは変化を求めないといけないだろうという機運が高まったのですが、そうは言っても、この完成度の走行体をそう簡単に作れるわけではないですしね。チャンピオン審査合宿で、「変えるぞー!」 と宣言してみたものの、そこから手探りの新走行体開発が始まったのです。
いやー、自分はソフト作るのはなれてますけど、この立体オブジェを0から想像して作るのは大変でして。2013年の出場チームでロボット作りが得意そうなところにも声掛けして、まずは様々なものを作ってみました。これが11月のこと。

クルマが好きなので、ステアリング機構はクルマっぽくしてみたかった。というか、それ以外、あまり思い浮かばなかったので、あとは新しい部品を買い足さなくてもいいようにしたかった。だって、お金かかるのみんな嫌うし。
そんなわけで、まず完成したのが、これ。 デフギアを使わなくてもいいように後輪は1つにして、クルマと同じようにステアリング切れるようにしたり。

あと、スピードが出るようにしたかった。高速で第1コナー突っ込んで、吹っ飛んでリタイヤ。みたいな事態が起こるようなやつって、わくわくするよねぇ。
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しかしですねぇ、形が超安定で、これで何を競う? スピードだけ競うコンテストじゃないし。 毎晩、毎週末、この試作に明け暮れていて、ちょっと困ったなぁ、これじゃ2014年に新しい走行体投入なんて無理かも、と思っていたのでした。