テスラ モデル3の充電分析環境構築

充電は自宅で行っています。それも屋外の100Vコンセントにモバイルコネクターを使った一番安上がりな構成です。いろいろ工夫したので充電したり片付けたりするのはとても簡単になりました。しかしエンジニアたるもの、充電しているときどんな風に電気を消費しているのか、充電していないときはどうなのかを知りたいです。そこで充電を分析できる仕組みを作りました。充電環境の構築についてはこちらをご覧ください。

電力計の設置

モデル3にどれだけ充電したかはアプリで分かります。充電が完了すると、前回の充電セッションで◯◯kWh追加されました。と表示されるのですが、小数点がない! 近所を走って帰って充電しても2 – 3kWh程度がやっとです。それに東京電力のWebサイトで1時間毎の家の消費電力が分かるのですが、なんだか思ったよりたくさん消費している気がする。もっと細かい正確な数値が知りたいので電力計をつけることにしました。この電力計はAmazonで購入しました。1ワット単位で計測できるし、アースが取れるのでモバイルコネクターのプラグにも合います。

1W単位で計測できる電力計

電力計の記録をどうするか

電力計をつけたのはいいでのすが、毎朝、電力計の画面を撮影し、消費電力とアプリが表示する電力を観察します。これをEXCELに書き写して充電にかかる本当の電力はいくつなのか?を推測します。すごいアナログな作業。なんとなくですが、変換効率が8割ぐらいなのが分かってきました。つまりアプリに4kWh追加しました、と表示した場合、本当は5kWhの電力を消費している感じです。変換効率についてテスラのフォーラムで質問してみたのですが、数値を持ちわせている人はいらっしゃらないようでした。

どんどん貯まる電力計の画面写真

ESP32-CAM+Googleで自動記録

エンジニアたるものアナログ作業が大嫌いでサボるのが大好き。なんとか自動化できないか考えます。電力計の画面をESP32-CAMで撮影して、画像の数字列から数値化して、Googleに送って、Googleドライブのスプレッドシートに記録できたら楽そう。問題は画面を読み取って数値化するOCRをどこで行うか。7セグ数字だからESP32-CAMで出来ないこともないけど調整が大変そう。試行錯誤の結果、Googleドライブに送った画像をドキュメントに変換するときOCRを掛けることができて、そこから数値が読み出せることが判明。出来上がった処理手順は、

  1. 電力計の画面を明るくするためにボタンを押す
  2. ESP32-CAMで画面を撮影
  3. JPEG画像としてGoogleに送る
  4. Googleドライブで受け取った画像をドキュメントに変換する途中でOCRで数値化
  5. スプレッドシートに記録

実は一番苦労したのが安定して画面を撮影するための1番の手順です。充電ボックスの中は真っ暗なので、画面を照らさないと写りません。LEDで照明を作ってみましたが反射して映り込みがあり数字が読めない。電力計のボタンの電力表示ボタンを押すとバックライトが光っていい感じに写るので、サーボでボタンを押すというギミックな仕組みです。

実はサーボを2個使うことになりました、ときどき電力計の積算を0にリセットするために2個のボタンを同時押しするサーボも搭載しました。積算が9.999kWhを超えると最小単位が0.01kWhになって精度が悪くなるためです。これが2つのサーボが動いている様子です。

電力計のボタンを押すサーボ

変換効率はいかに

ここまでの環境構築で詳細な充電分析が行えるようになりました。まだ数回の充電しか分析していませんが、変換効率は85-90%程度のようです。つまり3kWh充電しましたとアプリに表示したときには、実際には3.5~3.3kWh程度の電力を使っているようです。また、モバイルコネクターは常時2W消費していることも分かりました。

電気代を安く

いまの電気の契約は東京ガスです。時間による割引はありません。更に電気代を安く上げるならLooopでんきなどの時間によって変動する電気代で一番安いときに充電するような仕組みが完成すると完璧です。そのためにまずはLooopでんきの時間帯による単価を取得してスプレッドシートに記録し、それに消費電力を掛けて東京ガスとLooopでんきの2つの契約でどれぐらい差が出るかも模擬してみることにします。

Looopでんきの単価はAPIが公開されていて、https://looop-denki.com/api/prices?select_area=03 で東京地区エリアの単価を取得できます。これらを組み合わせたスプレッドシートはこんな感じです。

これでしばらく運用して、何も考えずに充電したとき、Looopでんきのほうが明らかに得になるとか、それとも単価が高い時間帯にぶち当たって大した差にならないのか、検証してから電気契約を考えたいと思います。同様のシステムを構築したい方はこちらからご相談ください。