グレーちゃん保護作戦完了

隣の車はワゴンタイプでそれほど車高も低くないから上向きに寝そべって潜ったら引っ張り出せるかもしれない。車に積んでいた日除けの銀色のマットを敷いて、ズリズリ潜ってみた。腕がカバーの裏側にすっぽり入るほどに潜る。手を伸ばすと濡れたボロ雑巾のような生き物が寝ているのに触った。引っ張るが後ろ足がどこかのバーに引っかかって出ない。後ろ足を持ち上げるようにして引きずるとゾロッと出てきた。それは一見グレーちゃんとは分からないほどずぶ濡れの猫だった。発見できたときの家での対処方法を予めみぃちゃん先生に聞いていたが、この衰弱ぶりではとても家では対応できそうにない。夜遅くで申し訳ないがみぃちゃん先生に電話して診て貰う段取りをつけ、横浜へ急いで戻る。途中、また新横浜付近は土砂降りで、雨はさらに南方向に動いている。
みぃちゃん先生に到着。診察台に載せていろいろ様子を見る。体重は1.2Kg。とんでもなく痩せていて背骨のゴツゴツは直に触っているほどに感じられ、お尻の骨盤付近も骨折しているかと思うぐらい骨がゴツゴツ。4年ぐらい経っているほど歯石が相当ついているが、睾丸が小さいので1歳未満だろう。確かにグレーちゃんは去年の秋ごろから見かけるようになった。体温は31度。平熱なら38度ぐらいだから相当低体温になっている。点滴するために前腕の毛を剃ってカテーテルを入れるが、血圧が低く、血が飛び出してこない。脱水症状も酷いから点滴しながら体を温める処置をする。血液検査をするために、腕に注射するが血が回っていないので採血できない。首の周りの血管も試してみたが駄目だった。とりあえずはヒータを敷いたゲージに入れ、点滴をしながら一晩様子を見ることに。今晩越せるかどうか、って感じである。
思い返すと、ここまでの経過はまるで特殊部隊が天候の合間を縫って敵陣の捕虜を探し出して連れ帰ってきたようなスピーディさだった。

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